黒色の本

□BIRTH
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静寂な森の奥まったところにある開けた場所で、僕は必死に土を掘っている。



……去年と同じように。



汗と泥にまみれながらスコップを砂利の混ざった地面に突き刺しては穿り返すという作業を続けていると、黒い土の中に白っぽいものが見えてきた。



母さんだ。



僕はさらに躍起になって土を退かす。最初に見えた部分は肋骨だったようで、平行して並ぶ数本の骨が土の中から顔を覗かせた。



あらかた掘り終えると、僕はスコップを足元に放り出して、手で母さんの全身が見えるように土を掻き出した。胸の上で手を交差させて眠る母さんの姿が現れる。



荒いだ息を整え汗を拭いその場にしゃがみ込むと、母さんの頭蓋骨を持ち上げ胸に抱きしめた。



「母さん、ごめん」



頬を一筋の涙が伝い落ちていく。



「僕は、またやってしまったんだ」
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