銀魔剣
□4【胸の痛みとこの気持ち】
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4【胸の痛みとこの気持ち】
――”次はイツキのところに来ると思う”――
なにを、そんな自信あり気に言うのか。
「…圭吾はオレに何をさせたいわけ?」
何を知っているんだ?
雪女の話題で盛り上がる公希たちから少し離れて、圭吾に近付く。
「なんで、見ようとしない…?」
やっぱりいつもと違う圭吾。
返って来た問いに首を傾げる。
「見るって?」
「…だから、…ったく、全部だよ」
見ていられないとでもいうような舌打ちをされる。
「全部ってなんだよ?何を知ってるんだよ?」
朝言ってた、妖怪もどきのことか?
「…なんでイツキはそんなに幽霊が苦手なんだ?」
今更な質問をまたしてくる。
「はぁ?なんでって……昔からお前が変な話ばっかりするからだろ!…いつどこでこんな幽霊を見ただとか、ほらあそこにいるだとかっ」
小さい頃からの、身に染みた拒絶反応だ。
「…全てが恐いのか?…恐くない話もあっただろ?」
恐くない怪談?
そんなのあるのか…?
「……一緒に見たのに、なんで忘れてるんだよ…」
溜め息をつかれた。
「…見た?」
「ああ、見たんだよ。…お前は見えるんだよ――」
真剣な圭吾の声に、オレは目を見開いた。
「――銀魔が」