銀魔剣

□1【赤い雪と共に】
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1【赤い雪と共に】



朝から学校中、ひとつの話題で持ち切りだった(らしい)。

今日は朝練がないから、HRギリギリに登校したオレは、何の話だか全然見当もつかない。

だからと言って自ら聞こうとも思わないんだけど。


真っ直ぐ自分の席を目指す。最近席替えして、ラッキーなことに窓際。一番後ろじゃないってのがなんだけど。

席につき、時計を見ると予鈴5分前。


「ふぃー…」


一息つく。

家から学校まで結構遠いんだよ。しかも今日は朝練ないからって余裕ぶっこいてたら時間ヤバくなっちゃって。チャリでマッハだよ。


「つっかれたー…」

「おっはよーイツキー♪」


めちゃくちゃハイテンションで前の席に座ったのは井山圭吾。小学校からの腐れ縁。


「おはよ。朝からハイだなぁお前」


机に突っ伏しながら見上げると、キラキラと輝かんばかりの笑顔で、


「俺はいつでも元気だ☆」


なんて聞き飽きたセリフを言いやがる。


「イツキは朝からたるんでるなー」

「うるせー。チャリでマッハで来たの。やる気は放課後に出る!」


暗に、部活だけは頑張りますと言ったオレ。

それがわかったらしく吹き出した圭吾は、


「イツキらしー!!」


と、バシバシ頭を叩いてくる。


「いってーな!!叩くなよ!」

「あっはは!ごめん☆」

「…ったく」


謝りながらも叩くなよ…。


「…なぁ、聞いた?」

「……何を?」

「噂」

「噂?」

「やっぱイツキは知らないよなー」


ニヤニヤしながら言う圭吾の顔が、ホント憎たらしく見えて、


「何がっ!?ていうかやっぱりって何だよっ!!」


なんて大人げなくピキッときてしまいました。


「やっぱり情報遅いってことー」


にっこり笑われた。

はいはい、そんなこと自分でもわかってますよ!


「スミマセンねー、自分以外に興味ゼロの面白くない性格でー」


…って別にナルシストなわけじゃないですから!


「噂話に興味持ってよー寂しいじゃん!」


流されたよ!
ちょっとはツッコんでほしかったな…。


「…ああ?で?どんな噂?」


一応、真面目に聞いてやるか。




 
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