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□刻む時間とともに増えていく彼女とのこと
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「“てらみす”とやらは、美味いな!」


コンビニで買ってきたそれをぱくっと口に含むとルキアは一気にその表情を変えた。

美味しいってわざわざ口で言わなくても、その顔を見てるだけでそれがわかる。

そんな顔をルキアはしていた。

だけど―、


「“てらみす”じゃなくて“ティラミス”」


俺がそう直すと、ルキアは、『どこが違うのだ、だいたい同じではないか…!』と頬を膨らませた。

いや、“てらみす”が美味い、なんてケーキ屋や喫茶店で言われたらティラミスのことかと想像もつくだろうが、いきなり言われたら、普通(何だ、その食べ物は?)と頭をひねるだろう。

世の中には、一文字違えば別モノなんていうものが山ほどある。

はぁ、と溜め息をつき、ただ思ったことをそのまま口にした。


「オマエ、こっちの聞き慣れない言葉にはホント弱いよな。まぁ、すぐ覚えられるモンでもないだろうけど」


だが、俺のその一言はルキアの気に障るモノだったようだ。
ルキアは自分のことを物覚えが悪いように言われた、と感じ取ったらしく、ものすごい反攻に出たのである。

そう―…ものすごい反攻。



なんだよ、それ。


つうか、それを判断基準にするか!?


きっとルキアしか言わないだろう、こんな、こんな突拍子もない殺し文句のような台詞―。



“一護の好きなものなら、すぐに覚えたぞ…!!辛子明太子、音楽が流れるという、こんぽ。それから、しぃーでぃー。”




これを聞いた時は、ぽかんと口を開けるしかなかった。

というか、どう反応すればいいんだ!?



一護の好きなものなら





俺の好きなものなら?



なんで


なんでだよ?


俺の好きなものならすぐ覚えられて、他はすぐには無理、とか。


そんなんってアリなのか?



“何で俺の好きなものならすぐ覚えられるんだよ…?”



でも、それに対するルキアの明確な答えはなかった。


「う〜む、なぜだろうな?不思議なこともあるものだ」



不思議って、オマエ…



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