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□遠距離と近距離
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ルキアの誕生日があと3日後に迫った金曜の夜。
俺は、浦原サンに改良してもらったスマホを見つめながらため息をついていた。

だって、そうだろう…。副隊長の仕事が多忙なことはわかっているつもりだ。だが、ルキアと最後に会った日からすでに3ヶ月は経っている。

加えて、ここ数日は、電話とメールの双方にも応答がない。困り果てた俺は、目の前にいない相手に向かって呼びかけた。


「あ〜もう…連絡取れねぇなら、こっちから行っちまうぞ?ルキア」





『遠距離と近距離』








連絡がとれないまま、ルキアの誕生日前日、つまり13日になってしまい、俺はその日の夕方、浦原サンのところに行き、穿界門を開けてもらっていた。



「しかし、珍しいですねぇ〜。黒崎サンが僕に頼み事なんて。朽木サンと大分会っていないから色々我慢出来なくなっちゃいました?」


「なっ…!そんなんじゃねぇよ…!!」


からかわれているのだとわかっていながら、声を荒げることしか出来ない。


(だって、仕方ねぇだろ!連絡取れねぇし、アイツの誕生日なのに、祝ってやれねぇのは嫌だし、何より…やっぱ会いてぇし…)


口には出せない想いを心の中で叫び、俺は穿界門の中へ飛び込んだ。





◇◇◇◇◇


浦原サンの穿界門は、尸魂界の上空に抜け出て、俺はそこから地面に着地した。
死神姿のまま辺りを見回す。


「ったく、相変わらずどこに出るかわけわかんねぇって、どうなんだ。ここ一体何処だよ?」


何度も尸魂界に来ているといっても、自分は尸魂界の住人ではない。ルキアや恋次達がいないと、正直地理はさっぱりだ。


(とりあえず、まずは流魂街から瀞霊廷へ行くのが賢明だよな。)


瞬歩で霊圧が強い方角へ向かうと、無事瀞霊廷が見え、日が落ちる直前には瀞霊廷内に入ることが出来た。




(なんだ、いるんじゃねぇか。)


入ってすぐにルキアの霊圧に気付く。十三番隊舎の方に久しぶりに感じるルキアの霊圧があった。


(まったく…、連絡つかねぇから何かあったのかって心配もした俺の身にもなってほしいモンだよな…)


その霊圧を感じて、安心のあまり少しだけ気が抜けてしまった。こんなこと、ルキアには絶対言えないけれど―…


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