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□新春恋模様
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「もし、俺が行かなかったらオマエはどうするんだ?それでも、あっちには行くんだろ?」
そんな俺の言葉を聞いたルキアは少し黙った。
いつもなら勝手に尸魂界に帰り、またいつの間にか現世にきているくせに。
「ルキア?」
どうした、と声をかけようとしたけど、その前にコイツの様子を見ていたら、今回の尸魂界行きを少しためらう理由が思い当たった。
おそらく…、ルキアは、朽木家での儀礼的な挨拶、貴族という立場であるため家に漂う厳格で重々しい空気、他諸々のことが、苦手なんだろう。
白哉を慕っているルキアは、兄に恥をかかせまいと、いつも必死で。
だけど、緊張のあまり上手く振る舞えなかったり、空回りすることも今まであったのかもしれない。
じゃなきゃ、ルキアが今回尸魂界に戻るのに、これほど躊躇う理由なんてない。
そして、程なく俺の予想が的中していたことが、ルキアの言葉ではっきりした。
「一護がいると落ち着くのだ。一緒に来てくれたら、あちらの美味しい甘味屋の白玉をおごってやるぞ…?」
ルキアが俺のパーカーの裾を握って上目遣いでそう言い出したから。
つーか、俺を白玉で釣ろうとするルキアをちょっと可愛い、と思って笑っちまった俺も俺だが。
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