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□新春恋模様
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なんというか、今年は年始めから慌ただしい。
いつもとは明らかに違うお正月。
何が違うって、そりゃ新年早々尸魂界に来ているからなのだが―。
『新春恋模様』
事は、一通の封書から始まった。
俺が階下から部屋に戻るとルキアが朽木家から届いたという白哉からの手紙を見ていたのである。
それを立ったまま覗き込めば、なんとも達筆な文字が連ねられていた。
しかし、達筆は達筆なのだが、そのくずし字は俺じゃ解読不可能。
そこで、ルキアになんて書いてあるんだ?ときくと、年始はこちらでゆっくりしてはどうか、という申し出だという。
(ちなみに、ルキアは今1週間の休暇中で現世にいる。)
ルキアの話によれば、朽木家には元旦、色々な人が挨拶に来たり、逆に夕方からは年始の挨拶にも出向いたりするらしい。
昔からよくルキアも白哉に付き添い、そうそうたるお偉い方への挨拶をしていたそうだ。
「しかし…、なにか粗相をするのではないかと、緊張で気が一時たりとも休まらなかったな」
苦笑しながらルキアが言ったその一言に、貴族の家っつーのも大変なんだな、と思った。
しかし、今回白哉はルキアのことも少し気遣ったのか、3日の午後あたりから実家に戻ることを勧めたらしい。
そして、俺はといえばルキアに『一護も一緒に行かぬか…?』と言われたわけだ。
最初は、桜で斬りきざまれたくはないし、遠慮しておこうとも考えた。
だけど、コイツが…、そうルキアがついてきてほしそうにするから、なんというか…負けた。
しかし、一人で行け!…と言えなかった俺はつくづくルキアに甘い。
だけど、こればかりはどうしようもないと思う。
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