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□ただ君の隣で
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日曜の昼下がり―。
部屋のドアをがチャリと開けると、そこにはうとうとと眠りかけているルキアがいた。
右手には読みかけらしい本が1冊、左手には俺がゲーセンで取ってやった小さなウサギのぬいぐるみ。
その光景が、不覚にもちょっと微笑ましくみえて、俺はそっとルキアに近づいた。
「……ルキア?眠いならベッドで横になって寝ろって。そうしねぇと、疲れとれねぇぞ…?」
俺とルキアが虚退治を初めてからしばらく経つ。
昼間は学校、夜は虚退治。そんな生活が続いていた。
正直、俺も少し疲れが溜まってきた…と感じている。
俺ですらそうなのだ。
現世の学校にまだ慣れていないルキアなら、尚更だろう。
こんな時くらいは、押し入れじゃなくて、ベッドで休ませてもいいだろうと声をかけた。
だけど、当の本人は半分夢の世界に飛んでいて、それに対する返事も途切れ途切れ。
「……、い…ち……ご…?」
「うん?」
「……あと…すこ…し、だ…け…」
「…ああ」
それだけ言って、自分は机の椅子へ腰をかけた。
俺の部屋にルキアがいることが日常になって、ルキアのこんな姿をみるのも当たり前のようになっている。
別に何でもない日常。
だけど、ちょっとだけ変わったかもしれない日常。
黒髪で華奢な死神が約1名居候中のこの部屋が、今は少しだけ居心地がいい。
何でだろう…?
そんなことを思ったけれど、答えはすぐに出なくて、数学の課題をやるべくペンを走らせた。
だけど、俺もいつのまにか眠気に誘われ、寝入ってしまったらしい。
その後の記憶は途切れた―…。
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