空想

□だから君のために(8)
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のだめと真一君の出会い話になります。

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思えば、俺とのだめの出会いは最悪だった。


伏見にある大川は人も少なく、ひとりで遠乗りに出かけるには最適だった。
その頃の俺は、単調な毎日に飽き飽きしていて、仕事でうまくいかなかったせいもあり、少しイライラしていた。
大川の川辺で悶々としていると、少し先で女が水遊びをしている。年は俺よりも5つ程下だろうか?
茶色の髪は太陽に透けて、水しぶきを浴びてキラキラしていた。
なんとなく、ぼーっと眺めていると、やがて女はなにかに足を取られたらしく、見事に川に滑り落ちたのだった。

「ぎゃぼー!!冷たいデス!!」

あわてて起き上がろうとするが、あせっている為、ふたたびこける。

「ムキャー!!これはひどいデス!」

変な奇声を発しているなぁと思いながら、見るに見かねて、近寄り、くつくつと笑いをこらえながら手を差し伸べてやった。

「おい!大丈夫か?ってかお前その恰好ひど過ぎだぞ?」

「ありがとうございマス。ムキャッ!ホントです。これじゃあマキちゃんに怒られマス。」

「家は近いのか?俺の直衣貸してやるから、とりあえず羽織っておけ。」

本当に面白い女。表情がころころ変わる。それにしてもひどいナリだ。
思わず、ぷっと吹き出してしまった。

「重ね重ねありがとうございマ・・・、ていうか、なんか笑っていマセンか?」

「いやいや失礼。あまりにも恰好が・・・。俺の直衣がまたさらに・・・。」

「ぎゃぼん。そんなにひどいデスか?のだめ、あんまり気になりまセンヨ。それより、この直衣いいにおいデス。はぅん・・・。」

うっとりしながら、俺の直衣をクンクンと嗅いでいる。

「お前・・・変だぞ。」

呆れながら、そのなりをまじまじと見た。
着ているものは上等な物。町娘ではなく、どこかの貴族に仕えている女房かな?
そんなことを思っていると、女は名乗った。

「あ、私、のだめといいマス。野田恵だからのだめって呼んでください。」

野田恵?どこかで聞いたことあるような・・・

「ああ。俺は千秋、千秋真一。」

「千秋様。本当にありがとうございマシタ。のだめの今いる所、ここから歩いてすぐなので、一緒に来てもらえマスか?
お礼もしなきゃダシ?直衣も返さなきゃダシ?」

「うん。わかった。」

さすがにこんな恰好で帰れなかたので、付いていくことにした。
そうすると、のだめと名乗る女は俺の少し前を歩きながら、楽しそうに歩いて行った。


つづく


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もう少し出会い編続きます!!

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