空想
□だから君のために(4)
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「はぁ〜。まあ、こんなもんだろう。」
結局片付けをしている。
俺はなんでこんなにコイツに甘いんだ。我ながら情けなくなってくる。
「さすが今をときめく千秋中将サマv 惚れ直しました。」
「おまえさぁ、俺がこれなかった間、なにしていたんだよ。文もよこさないで…」
「え?だって、特に用がなかったし・・・」
「またそれか。どうやら、俺はそんなに思われてないらしいな」
「そんなことアリマセン!真一君、好きデス。愛してマ〜ス!!」
「はいはい。」
「むぅ、ツレナイ夫デス。そこは俺も。デショ?」
「夫じゃねえし・・・」
頬を膨らまし、不機嫌そうな顔ですねる。そんな所も素直に可愛いと口に出せない俺がいる。
まあ、いつものことだ。
それより、確かめなければならないことが・・・。
「のだめ、お前何か俺に隠していることないか?」
できるだけ、優しく聞こうとするが、どうしてもイライラが隠せず、ついきつい口調で聞いてしまった。
「ぎくっ。そ、そんな。隠し事なんて・・・ありまセンよ・・・」
「目、逸らすな。今日聞いたぞ。お前、入内するんだってな。どういうことだ!」
さっきのやさしい真一が怒りオーラを発しながら、のだめに詰め寄った。
「むぅ・・・。辰雄とヨーコがかってに話を進めているだけです。のだめは絶対やだって言っているんデスけど・・・」
「けど、なんだ?」
「のだめの話なんて、ぜんぜん聞いてくれないんデスヨ!それどころか、やれ礼儀作法だの、琴の練習だの、
のだめの苦手なことばかりやらせるんデス。真一君にも会えないし、もう限界デス!!」
「うん。俺に会いたかった?」
「勿論デス!のだめは真一君以外は考えられマセン!」
「俺も・・・。」
やっぱりのだめの意志なしか。疑ってはいなかったけど、のだめの口から聞けてよかった。
そろそろ二人のことも考えなきゃな。まあ、入内の話はそんなに急には決まらないだろうし。
ほっとしたのも束の間、外がざわざわと騒がしくなった。
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誰かがきました。