空想
□だから君のために(1)
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時は平安。左大臣家の一の姫のだめは今日も奇声を発していた。
「むきゃぁ〜!!よっくん!なに勝手に人の文を見ているんデスかぁ!!
それは真一君からの大事な文ですよぉ〜!!」
「姉ちゃん、相変わらずだなその奇声。いいだろう?いつも内密に文を届けているんだから、少しくらい見たって。」
弟のよしたかはしれっとした顔で、ひらひらと文を掲げた。
「なになに・・・『いつも文ばかりでごめん。ちゃんとめし食ってるか?琴の練習しているか?
会いに行きたいけど、今帝直々の仕事で毎日遅くまで内裏に通いづめだから、なかなか行けない。
また時間ができたら連絡する』 ふむふむ、今を時めく千秋中将も帝の命令となれば恋人を放置するよなぁ。」
すると、のだめは少しさみしそうな顔で、
「はぅん・・・いいんデス。真一君はお仕事をしているときが一番かっこいいデスから。でもやっぱりチョコっとでも会いたいデス。
妻はおとなしく夫の帰りを待つデス ぎゃは!!」
(姉ちゃん、まだ結婚していないだろうが・・・)
よしたかも姉の妄想には呆れている。
「でもさ、よくあの千秋中将が姉ちゃんなんかを相手にしているよなぁ。つくづく感心というか、驚きというか・・」
「まあ、真一君はのだめにメロメロデスから。そうやきもち焼かないでクダサイ。」
「せいぜい捨てられないように頑張ってよね。うちの不良債権にだけはならないように!」
「ぎゃぼっ!!が、頑張ります」
つづく
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長編スタートです。