sweet
□煌ノ糸
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「…おい、松本」
隊長会から戻り己が副官に声をかける。
自席に松本の姿はなく、逃げられたと思ったが…気配はするのだ。
「………んっ…」
「?松本」
「…隊…長」
松本を探して執務室を見回すと、探し人はソファーの上で
夢の人
になっていた。
寝言…かよ。
少し目を放すとこれだ。溜め息しか、出てこない。
揺すり立てて起こすのは簡単だが、こうも気持ち良く爆睡されては
起こすのも
可愛そう…だ
とことん、自分は松本に甘い成分で構成されているらしい。
しかも
やる事をやっての爆睡では、怒気も削がれると言うものだ。
片付けて置けと命令した書類は完璧な仕上がりで、あとは日番谷の認印を待つばかりになり机に重なっていた。
やれば出来るんだよな
誰よりも完璧に。
元々事務能力も備わった女だ。
前に所属した隊が、脳味噌まで筋肉の戦闘隊だし松本1人で、何かと逃げる隊員を怒鳴り付け、尻を叩き切り回した。
らしい。
今のこの姿からは想像も出来ねえ。
キラリ
金糸が光に煌めく。
松本の些細な動きにもサラリと零れ。
光にけぶる。
見事な金の海原だ。
へぇ。
見事なもんだ。
甘い香りに誘われる虫だな。そう、自嘲しながら、艶やかな金糸に触れる。
「それ以上デカくなるんじゃねえぞ」
呟いて、小さなキスを落とした。
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