sweet

□甘い誘惑
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「たぁ〜いちょう」
「……何だ?気持ち悪りいなあ」

猫なで声の松本をバッサリ切って、日番谷は再びペンを走らせた。
「そろそろ時間ですよ〜総隊長お待たせするのは失礼ですよぅ」
「………」
日番谷は盛大な溜め息を付く。
「ジジイは何だってんだ?こっちは雑務で忙しいってのに」
茶飲み相手欲しさなら許さねぇ。
まったく、総隊長に対して失礼な態度だが。山本総隊長は日番谷には甘い。孫に菓子をあげたい祖父感覚で、忙しい日番谷をなんやかやと理由を付けて招いては不評を買っているのだ。
しかし。
今回の山本の招きは松本が仕組んだ事。

日番谷の背中を見送りながらほくそ笑んだ。

『よぅ〜し!これでチョコレートケーキの1個や2個は楽勝で作れる』

机から材料一式を取り出して、足取りも軽く給湯室に向かった。

総隊長を動かすのは簡単だった。
朝イチで一番隊の隊長室に向かい、

「…最近……隊長が自分の隊長としての資質に悩んでるみたいで…」
「なんと?」
動揺する総隊長のシワシワの手を取り半泣きになって
「総隊長!お願いします!日番谷隊長を励まして下さい」
と。
トドメを刺したのだ。
総隊長は、ワシに任せろ!と、即。地獄蝶を飛ばした。

扱いやすい!

案外、隊長の言う通り茶飲み相手が欲しかっただけなのかもしれない。

何はともあれ、3時間は固いでしょう!
年寄りは長話が好きだ。
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