sweet

□煌ノ糸
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松本の髪からはいつも
甘い華の香りが
した。


金色に煌めく波は
綺麗で
硬質そうで

だが、
触れたら上質の絹糸の
手触り。


月光に煌めく波は
白い柔肌を隠し
己だけが暴けるのだ

幼い支配欲を満足させた。


朝日に煌めく波は
儚げな美貌と
揺らめく蒼の光を引き立てて
今日の始まりを
告げる。


暖かな太陽の光を
いっぱいに浴びた波は
艶やかに煌めき
豊かに舞う

見とれながら
あの男に思いを馳せた

連れて行けたのに
連れて行かなかった


暗闇の世界では咲けない
華の哀れを


知っていたのだろう。



煌ノ糸





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