sweet

□甘い誘惑
1ページ/3ページ


「…んっ?」
今、何時?
手探りで目覚まし時計を探すが、何時もの場所にない。

何でよ?

指先に触れる冷たい感触。

引き寄せると

チャポン

水音がした。

「!?」

ガバリと起き上がると、そこには地獄絵図が広がって…いた。

恋次が這いつくばり。
一角がゴウゴウといびきをかき爆睡して。
修兵が悪夢にうなされてるのか、助けを求める様に手をさ迷わせて。
イヅルにいたっては、真っ白な顔で転がっていた。

乱菊が絡んで酔わせた男達の末路である。
今日は何月何日何時何分よ!?
あたしの記憶が正しけりゃ、2月14日!バレンタイン当日!しかも夜が明けたぁ!

昨日。
恋次達に誘われるまま飲みに行って、
あと少し
あと少し
が!
夜が明けたじゃない!

隊長にチョコレート用意してなぁーい!

とりあえず、帰らないと!

床に転がる男達はすでに見えていない。蹴散らしながら走った。

「ぐぇ」

背中からカエルの潰れた様な声がした。
誰が踏んだ?

ま。
いっか。

次の瞬間、瞬歩で駆ける乱菊はそんな事など綺麗に忘れていた。

ちなみに犠牲者は、赤髪の男。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]