とくべつ。
□いつも一緒、ずっと一緒
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たとえるならば、しとしとしと。
ゆるやかに天から降り続ける雨。
ずっと続いている上下運動を、神座島にいる椎菜と草野は眺めていた。
もう、先輩たちのセキレイは帝都へと飛び立ってしまった。
そして、2人。
世話が上手で優しい椎菜と、元気で素直な2人は兄妹のようにいつも一緒にいる。
周りの調整者たちも、微笑ましく見ているほどだ。
「なかなか止まないね、くー」
「うん・・・」
今日、高美が2人の外出を許可していたのだった。
椎菜はもう、帝都に行ける準備はほとんどできている。
草野の外慣らしのために、椎菜にも手伝ってもらうために2人の外出と、称しているだけ。
もう少しで、椎菜は帝都び立つ予定だ。
2人のいい思い出にと、高美が考えたもの。
もちろん、2人はそのことを知らないのだが。
空は、いくら見ていたって不機嫌なままだった。
“晴れてください”という願いなんて、空は聞いてくれなかった。
ますます天気は悪化する。
椎菜が眺めていた窓のドアを開けると、冷たい風が2人を通り過ぎていった。
さっきよりも一層灰色を帯びた雲。
草野は窓から首を出し、空を仰ぎ見たとき、
────ゴロゴロゴロ
凄まじい轟音とともに、雷光が迸った。
草野は驚いて首を素早くひっこめると、椎菜に飛びついた。
「しーちゃ、しーちゃ!!」
半パニック状態の草野は、わたわたしながらも、助けを求めるように椎菜に縋る。
椎菜は草野の背中に腕を回し、ポンポンと叩いてやった。
「くー、大丈夫だよ。安心して」
「しーちゃ・・・」
上からすら暖かくて優しい声音に、草野は上をむいた。
涙いっぱい溜めていた草野の瞳には、椎菜の優しい笑顔が映った。
「僕がいるから」
「・・・うん。ありがと、しーちゃん」
「うん」
「しーちゃん・・・」
「ん?くー、どうしたの?」
草野はまた、下を向いてしまった。
それに伴い、椎菜は草野の目線の高さに腰を落とす。
口の前で結ばれたこぶし。・・・不安の、表れ。
「しーちゃん、もうすぐくーの前からいなくなっちゃうの?」
「・・・え?」
「高美ちゃんが、この間こそこそ話してたの・・・。くー、しーちゃんがいなくなっちゃたら・・・!!」
「くー、大丈夫。大丈夫だから。いつかそうなっちゃっても、空は繋がってるよ?」
「おそら?」
「うん。そして、心も。くーがかなしかったら、僕がいつだって助けにきてあげるから」
「ほんとう?」
「うん、本当。いつも一緒。そしてこれからもずぅっと───」
「・・・うんっ!」
灰色の雲は何処にか。
晴れ渡っていた空はまるで、草野の心のようだった。
“ずっと一緒”と約束の指きりをして、2人は手を繋ぎ、雨上がりの空の下に走って行った。
*SOS企画様。ぐだぐ駄文ですみません。ですが、楽しく書かせていただきました。ありがとうございました!12月22日*