物語-弐


□『 子供扱いしないで 』
2ページ/3ページ

「遅かったなー。」

「左之助ー。もう勝手に入って。」

「戸締まりしてなかったぜ。だから、こうやって待っててやったんだろ。」

「すまなかったでござる。拙者も確認を怠ったでござるよ。」

「とりあえず何か食わせてくれよ。なぁ。」

「まったく、すぐに食わせろなんだから。いただいたお饅頭あるからちょっと待っててね。」





時間もお昼過ぎ。

ちょうどいいわね。



「お饅頭、ここだったかなー。あ、あった。」


お茶もいれて、弥彦はまだ帰って来ないわよね。



「お茶入っ………。」

「どうなんだよ。」

「さっきから同じことばかり言うでござるな。」

「だから、嬢ちゃんの話だよ。」



私の話……?

つい足が止まって、聞き耳をたてる。




 
「最近、仲良く手を繋いで歩いているんだってな。」

「情報が早いでござるな。」

「まあな。どこまでやったんだよ。」

「薫殿はまだ子供でござるから拙者が守っているでござるよ。」

「確かにお前とじゃだいぶ離れてるからな。」

「うるさいでござるよ。」

「悪かったよ。好きは好きでもお守りみたいなもんか。」

「それはなんだか薫殿に悪いでござるよ。」

「嬢ちゃんはああ見えてガキだからな。」

「左之もあまり変わらないでござるよ。」




笑ってる二人。

好き勝手言ってくれるじゃない。





「お饅頭とお茶持ってきたわよ。」

「あちっ!なにすんだよ!」

「薫殿、熱いでござる!」

「ちょっと滑っちゃったわ、ごめんなさい。」

「ちょっと滑ったで頭に茶をかける奴がいるかよ!」



もちろん、わざと剣心と左之助の頭にお茶をこぼした。



「お饅頭、美味しいわね。」

「それより頭が熱ぃーよ。」

「だから事故だってば。」

「そんなんだからガキなんだよ。」

「うるさいわね!」


まったくガキガキうるさい。


「薫殿。そんなにいっぺんに入れたら詰まるでござるよ。」

「う゛ぬざひわお(うるさいわよ)!」





 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ