物語-弐


□『 男らしく 』
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「薫っ。」


そう勢いよく開ける。


「ビックリしたあ。なに?」


無言で部屋に入り、座る。

強引に抱いて接吻…。


できるか……。



「どうしたの?」

「薫。」

「薫?」

「あぁ。薫。」

「は、はい。」



そう薫は顔を赤くして、俺の前に正座する。

可愛い。


頬に手を添え、また呼ぶ。



「薫…。」


そう言うと薫は艶やかな顔になる。


俺の中で何かが弾ける。



勢いよく身体を抱き寄せる。

薫の身体がビクッと一瞬震える。



うるんだ目と見つめ合う。


何かを言おうとした唇に、強引に唇を落としていく。


甘い。

飴玉のように甘い。




「んっ……ん……。」


唇と唇の少しの隙間から、薫の吐息が漏れる。

苦しいのか俺の腕をギュッと掴む。




でも、それは誘ってるようにしか思えない。



唇を離すと、尚うるんだ瞳でこちらを見つめる。


「薫。」

「剣心……。」

「愛してる。」



そう何度も囁き、薫の着物を脱がしていく。

いつもは恥ずかしそうにするのに、今日は薫も大胆に脱がされていく。




「剣心…愛してる…。」


途切れ途切れにそう言う。


俺は薫の首や胸や肩に愛の証を付けていく。


薫は俺の頭を撫でる。



薫の中で、何度も何度も愛を突き上げる。


その度に漏らす淫らな声を何度も聞きたく止めることができない。



「左之…助…は?」

「帰ったと…思う…。」

「聞こえたら…嫌だわ…。」

「聞かさせない…。」



また俺は唇を塞いでいく。



俺の汗が薫の身体に落ちる。

それが尚更身体を光らす。


いつの間にか部屋には闇を近づける光が満ちて、薫がよく見えなくなる。



だが、俺の下に確かに体温がある。

それは温かく、優しい。




「け……し…。」


薫は休むことなく続く、この時間に疲れて意識を失いそうになっている。



俺も疲れた。

息が荒くなる。




だけど、この時間を止めたくない。


全ての力を使うつもりで、尚も薫を突き上げる。



交わる身体と身体が汗で滑る。




「……………。」

「……………。」



お互い声にならない声を上げる。




気付けば部屋は完全な闇に満ちていた。
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