物語-弐


□『 男の本音 』
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「あぁー、サッパリしたわ。あれ?左之助は?」

「帰ったでござるよ。」

「そう。」



風呂上がりの薫殿から良い匂いがする。

甘い誘惑の匂い。

心地好く、酔いそうになる。



欲情してないわけじゃない。

己を我慢しているだけ。



薫殿が綺麗過ぎる。

拙者の欲望で、その身体を満たしていいのか。




吐き出したい。





「剣心?」

「…あっ、なんでござるか?」

「目付きがちょっと怖かったわよ。どうかした?」

「いや、なんでもないでござる。」






つい…。

薫殿が望むまで待とう。









そう決めたのに。


その夜に決意は崩れた。






薫殿の寝間着姿。

いつもと変わらない。





しかし、左之が変な話をし続けるあまりについ露出されている場所に目がつく。



首筋…。

鎖骨…。

谷間…。



「剣心?やっぱり怖いわよ。」


そう薫殿が顔を覗き込む。



うるんだ目…。

紅い唇…。





「ちょ、ちょっと!」


気付いたら薫殿を自室に運び、寝間着を脱がせていた。

初めての時のように、優しく丁寧にではなく。




早く触れたい。

早く見たい。



その思いだけで、無理矢理脱がす。




「剣心!剣心!けんっ……。」


声を抑えるように、唇を塞ぐ。




薫殿がいけない。

拙者を誘うから。




拙者だって男だと解っていない。








 
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