物語-弐
□『 恋は愛へ 』
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「薫殿。」
「剣心…。」
「不用心にこんな所で寝てはいけないでござる。」
「お日様が気持ち良くて、つい寝ちゃったわ。」
「起きたついでに買物に行こうか。」
「うん。」
そう彼は私に手を差し出す。
それに応え私は手を重ねる。
前までは、手を繋ぐなんてなかった。
こんな風に隣を歩いても、少し後ろを歩いてる気がしていた。
だけど、今は違う。
「ねぇ、剣心。」
「なんでござるか?」
「剣心の手は温かいね。」
「薫殿の方が温かいでござるよ。」
「放したくないなぁ。」
「放さないでござる。」
「ありがとう。」
きっと今この気持ちに名前を付けるなら…。
迷わず愛≠ニ言える。
一人の恋≠ヘ二人の愛≠ヨ変わっていく。
「剣心。愛してるわ。」
「拙者も愛してるでござるよ。」