物語-弐


□『 続・甘えんぼ 』
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「剣路。可愛いわよね。」

「あぁ。」

「剣路ー。大好きよー。」


そう薫殿は剣路に微笑む。


大好き…。




拙者はもうずっと言われていない。




「薫殿!」


拙者が急に大声を出したから、剣路が起きて泣き出した。


「もう〜。剣心のバカ!」

「おろ〜…。」



薫殿が剣路をあやす。

頬に口づけしたり、ギュッと抱きしめたり。

にこにこ微笑む。



そんなにされても、剣路は泣き止まない。

子供には解らないでござるな。

こんな幸せなことのに。




「お腹空いたのかな〜。」



剣路を見る薫殿は本当に可愛い顔をする。

愛しい笑顔を向ける。

拙者はしばらくあのような笑顔を向けてもらってないでござる。



「ちょっと剣心。今から剣路に母乳あげるからあんまり見ないでよ。」

「すまないでござる。」



おろ…。

ちらちらっと薫殿と剣路の方を見る。



剣路…。

いいでござるなぁ……。




しばらくして剣路はまた寝た。






「ふぅ。大変ね、やっぱり子育てって。」

「そうでござるな。」

「そういえば剣心何か用だったの?」

「別にでござる。」



ついそっぽ向く。

そうした行動の後に自分の子供さに恥ずかしくなる。

拙者は剣路にやきもちを妬いていたでござるか…。




「どうしたのよ?」

「いや…別に特に…。」



恥ずかしすぎるでござる。

父親が息子にやきもち妬くとは…。






 
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