物語-弐


□『 花眼 』
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「もう春なんだね。」

「そうでござるな。」


家までの帰り道。

桜の木が目を染める。



「剣心、とっても笑顔ね。」


薫殿に覗き込まれそう言われる。



桜はあまり好きにはなれない…。


そう言ったものの、こんなに暖かい天気と心地好い春風。

そこにある淡い桜がとても綺麗に思う。



「春って、暖かくて気持ちいいわよね。」

「あぁ。散歩に出るのが楽しみになるでござる。」


薫殿が少し先を歩く。

ふわっと風が拙者達を撫でていく。


ひらひらと舞う桜の花びらが薫殿の髪に落ちる。



「花びらが…。」

そう手を伸ばして取ると、ありがとうと桜色に染めた頬で微笑む。



「本当に綺麗だわぁ、桜って。」

「知ってるでござるか?そのようなことを何と言うか。」





 
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