物語-弐


□『 例えば 』
1ページ/1ページ

「例えばでござるよ?」

「うん?」




剣心と縁側で日向ぼっこ。

晴天の下。

隣に剣心。

お饅頭にお茶。



幸せなお昼休み。



「いや……。」


剣心が何かを言いかけて迷ってる。


「だから、何よ?」


私は緊張しながら次に言う剣心の言葉を聞く。




「例えば拙者より左之の方が先に薫殿に出逢っていたら、左之を好きになったでござるか?」




「はぁ?」


予想外の言葉にため息のような声が漏れる。


剣心は見つめてくる。



「なに言ってるの?」


私は急に笑いが出てきた。


「あははは!なに言ってんのよー!」


笑い過ぎて涙が出る。

その姿を見て、剣心はそっぽを向く。



「やっぱり言わなかったことにしてもらいたいでござる。」

「あははは!剣心ったらー!」

「少し笑い過ぎでござる!」

「だってー!!」



相変わらず剣心はそっぽを向く。


「剣心っ。ごめんね。」



そう剣心の肩をぽんぽんと叩く。

振り返る剣心の顔が真っ赤になってる。



「好きになったでござるか?」


剣心は顔を赤くしながら見つめる。


可愛いなぁ、もう。




「なってないわよ。決まってるじゃない。」

「そうでござるか?」

「じゃあ剣心は私より先に恵さんや操ちゃんに出逢ってたら好きになってたの?」

「それはないでござる。」

「ほらー。じゃあ、やっぱり違うじゃない。」



そう微笑むと、剣心も満足そうに微笑む。


本当に可愛い。




「剣心っ。」


そう剣心に寄り掛かる。


「大好き。」

「拙者も大好きでござる。」



剣心も応えて、私に寄り掛かる。





「幸せだわ。」

「拙者も幸せでござる。」







 
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ