物語-弐


□『 男の本音 』
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「なぁ、剣心。」

「なんでござるか。」

「いいから、こっち来いよ。」

「なんでござるよ。」



拙者が洗濯物を干している後ろで当たり前のように、縁側で茶と菓子を食べている左之。

一先ず洗濯物を置き、左之の隣に座る。



「嬢ちゃんとはどこまでだよ。」

「またその話でござるか…。」

「いいじゃねぇかよ、教えろよ。」

「もう少しまともな話をできないでござるか?」



拙者と薫殿の距離は、過去を乗り越えてから変わった。

拙者は薫殿の幸せを思い離れるべきだと思っていたが、今は薫殿の幸せは自分しか成せないと思っている。


自惚れと思われようが、そう拙者は思う。




だから、薫殿の傍に拙者はいる。



「男だったら、愛した女抱きたいだろ?」

「そうでござるな。」

「やりたいだろ?」

「そうでござるな。」


面倒臭くなり、ぶっきらぼうに応える。

本当にろくな話題を出さない。




「剣心は流浪人時代からずっと我慢してるんだろ?」

「解らないでござるよ。」

「隠れて遊郭通ってたのか?」

「そんなわけないでござろう。」

「もしかして男が好きなのかよ?」



言葉より先に左之の頭を殴る。



「まぁ嬢ちゃんが相手じゃ欲情しねぇか。」


左之がカッカッカっと笑ってると、今度は拙者以外の拳が頭を殴る。


「左之助〜。」

「痛ってぇ〜…。」

「薫殿、おかえり。」

「ただいま、剣心。」



出稽古から薫殿が帰ってきた。

それだけで嬉しくなる。

暑い暑いと言いながら、お風呂に行く。



「お前も大変な奴を好きになったな。」

「薫殿はああだからいいでござるよ。」

「剣心も闘ってる時みたいな顔でやってみろよ。新しい発見あるんじゃねぇ?」

「心配されなくても大丈夫でござる!」

「ムキになるなよ。お前も女になると弱ぇなぁ。」



左之にからかわれるとは、悔しい。

まったく余計なお世話だ。





拙者達だって…、一回くらいはあるでござるよ。

薫殿は初めてだったから、気持ちよいと言うより痛がっていたから、つい二回目が言い出せないでいる。







 
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