物語-弐
□『 タヌキ寝入り 』
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「薫殿。買物行くでござるよ。」
「私はいいわ。行ってらっしゃい。」
ここ、二・三日の薫殿はおかしい。
買物にも一緒に行かなくなり、一日の多くを部屋で過ごす。
食事をしても残す。
拙者と弥彦が心配しても、何でもないと言う。
「あっ、剣心!」
薫殿が駆けてきた。
「やっぱり行くでござるか?」
そう拙者が笑顔言う。
「ううん。帰りに林檎買ってきて。」
「林檎で…ござるか。解ったでござる。」
「お願いね!」
そう言ってまた薫殿は家に入って行った。
顔色は良いでござるがなぁ。
門から出ると弥彦が赤べこの手伝いから帰ってきた。
「剣心。一人で買物かよ。」
「あぁ。」
「薫、体調悪いのか?」
「そんな風には見えないでござるよ。」
「俺が薫見てるから剣心は安心して行ってこい。」
「ありがとう。」
弥彦に微笑ましくなり、薫殿を任せ買物に出かける。
林檎はいくつ買えばいいでござるかな。