物語-弐


□『 続・甘えんぼ 』
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「薫殿〜。」

「ちょっと待って。今、剣路を着替えさせてるから。」


しばらくしてまた。


「薫殿〜。」

「ちょっと待って。今、剣路を寝かしつけるから。
あっ、静かにしててね。」





「はぁ。」




最近の薫殿はずっとこの調子でござる。

買物に行こうと誘えば剣路がいるからと言い、食事の時もいつの間にか剣路が隣になった。



剣路が生まれて三ヶ月。

剣路はすぐに拙者から薫殿を奪って行った。






しばらくして剣路が静かになった。



「剣路は寝たでござるか?」

「えぇ。グッスリよ。」


縁側で二人でゆっくり座る。

やっと薫殿を…。


「薫殿。」


そっと唇を重ね…。

「そうだ、剣路の着物を繕うの忘れてたわ。」

えっ…。


そう言って自室に取りに行く。


拙者は……不発に終わり少しばかり情けない。



「やれやれ…。」

頭をひとかき。




後ろの剣路を見ると、よく眠っている。



「こんなに可愛いなら仕方ないことでござるか…。」

ちょこんと剣路の頬を触ると、にこりと笑う。

拙者もつい笑顔になる。





「剣心。」

「薫殿。」



そこに着物を持って、薫殿が帰ってきた。







 
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