物語-参

□『 似た者夫婦 』
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「左之助!それ俺んだぞ!」

「馬ー鹿。早い者勝ちだ。」

「まだあるからゆっくり食べなさいよ。剣心も、はいっ。」

「ありがとうでござる。」


恵殿が買ってきてくれた饅頭を、昼に四人で食べている。

相変わらず弥彦と左之は、どちらが多く食べれる競っているみたいでござる。

そんな二人を背に、拙者と薫殿は縁側に座り少し取った饅頭と茶を頂く。



「美味しいわね。」

「そうでござるな。」


微笑む薫殿に微笑み返す。


「だーかぁら!左之助は食いすぎなんだよ!」

「お前より身体がデカイから仕方ないだろ!お子様はもう限界か?」

「んだとー!」


二人の空気に持っていきたくても、弥彦と左之の声に邪魔されてしまう。

そして可笑しさのあまり、そちらの二人の会話に耳を傾けてしまう。


「煩いわね!」

「黙ってろ!」

「何ですってー!」


薫殿も参戦し、饅頭を頬張る弥彦の首を締め出した。

そのすきに食べる左之。


「薫殿。弥彦が詰まらすでござる。」


そして、案の定弥彦は喉に詰まらせた。


「や、弥彦ー?!」


一気に茶を飲み、ゼハゼハと息を吸ったり吐いたりしている。

「もう、だから言ったじゃない。ちょっと大丈夫?」

「半分お前のせいだろ。」

「はい、もっとお茶飲んで。大丈夫?」


薫殿が心配そうに弥彦の背中をさすり、茶を差し出す。

弥彦もよっぽど苦しかったのか、その手を払わない。




「大丈夫?」

「そんなに心配すんなよ。」

「するに決まってるじゃない。もう本当に。」

「……あぁ!左之助、全部食いやがったな!」

「ご馳走様でしたっと。」


すぐに弥彦は左之とまた喧嘩を始めた。

「もう。」と、薫殿は拙者の横に戻ってきた。




 
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