物語-壱
□『 桜餅にご用心 』
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「惚れ薬だー?!」
「さっきそこで買ったんだよ!この桜餅を食べると花びらがのどについて、それが食べらした人へ愛の言葉を言わせるらしいんだ!」
いつもの仲間と赤べこで飯を食ってると、一人が惚れ薬なるものを買ってきた。
明らかに嘘くせぇ…。
「嘘だろうよ。そんな花びらに人の気持ちが動かせるかよ。」
「なんなら試してみろよ。」
「あぁー?」
手にしたものの…どうするか。
嬢ちゃんは剣心ってわかりきってるから効果わかんねぇ。
剣心に食わせて嬢ちゃんへの気持ちを言わせるか?
でも嘘くせぇしなぁ。
「あっいたいた、左之助ー。ちょっと剣心いないから買物付き合ってよ。」
「えっ、あぁ。」
ズカズカと中に入って来る嬢ちゃん。
そうだと言って仲間が俺の持ってる桜餅を嬢ちゃんに食わそうとする。
「バカやめろよ!」
「信じてないならやってもいいだろ!」
「そうだけどよぉ…。」
「なに?桜餅くれるの?」
食い意地のはった嬢ちゃんはすぐに飛び付いた。
まぁ、たかが桜餅で人の気持ちなんか操れねぇよな…?
でも本当なら剣心に殺されかねねぇし…。
「…嬢ちゃん、食うか?」
「ありがとう!」
美味しいと言って食べた。
俺らがずっと見てたが、特に変化もなく食べ終わった。
やっぱりありえねぇよな。
「左之助、買物行くわよ。」
「おう。お前らも変なもの買うなよな。」
そう言って、店から出ると嬢ちゃんはふらっと倒れた。
「おい!嬢ちゃん!」