物語-壱
□『 甘えんぼ 』
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「すぅー…。」
「……弥彦、寝たでござるか?」
「えぇ。風邪ひいちゃうから毛布持って来なきゃ。」
「拙者が持って来るでござる。」
「ありがとう。」
夕飯を食べて終わり、お風呂も終わり三人で一息ついていると弥彦がコクリコクリと首を振り出した。
薫殿が寝るなら部屋と言えば、寝てねぇと言いながら机に顔をつけて寝だした。
最近、稽古も頑張っているし仕方ないか。
「薫殿、毛布。」
「ありがとう。」
戻ると薫殿の膝枕で弥彦は寝ていた。
薫殿は優しく弥彦に毛布をかけてやる。
「むにゃ……母ちゃん…。」
弥彦が気持ちよさそうに、薫殿の膝に甘える。
「まったく、いつもこうなら可愛いのに。」
弥彦の頭を優しく撫でていく。
「弥彦もまだ子供なのね。」
「そうでござるな。」
薫殿が母上のように見えてしまう…。
━━心太…。
━━母上…母上の膝枕気持ちいい。
「剣心。」
「なんでござるか?」
「ボーッとしてたわよ。」
「あぁ、つい。」
つい昔のことを思い出してしまった。
温かかったなぁ、母上の膝枕は…。
「弥彦をこのまま寝かすわけには行かないでござるから、拙者は部屋まで運んでこよう。薫殿ももう遅いから部屋に戻って寝るといい。」
「うん、ありがとう。」