物語-参

□『 逢いたい 』
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「でも、こうやってまた逢えてよかった。本当に。」

「拙者も、またこうやって逢えてよかったでござる。」

「日本が大変なことになってるって言うのに、剣心にどうしても逢いたいって思ってたのよ。我儘でごめんなさい。」

俯き、苦笑いをしている。

「でも、逢いたかった。探してもいるはずないのに、探さずにいられなかった。笑顔を見たかった。逢いたい、逢いたい、そればっかりだった。」

「………。」

「だけど、自分では何にも行動せずにウジウジ泣くだけ。弥彦や恵さんにさんざん怒られたんだから。」

「はははっ。」

「こっちに来てみたら、一人で行くって出て行ったのに操ちゃんを連れて旅してたって言うし。」

「それは仕方ないでござるよ。」

「…本当にまた逢えてよかった。ずっと逢いたかった。」


震える声で、頬に涙を零し、薫殿は微笑む。

抱きしめたい。

手を伸ばせば、簡単に届くこの距離。

抱きしめたい。


「薫殿。」

まっすぐ薫殿に向かって手を伸ばす。



 
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