物語-弐


□『 男の本音 』
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「剣心…剣心…。」

「ん…んん…。」




まだ夜明け前。

薫殿から呼ばれ起きた。


「どうしたでござるか?」

「よかった…、いつもの剣心だ。」

「おろ?」



しばらく寝起きで思考が停止していたが、夜のことを思い出した。




「剣心、怖かった。目付きが全然違ったもの。それにずっと無言だし。」

「すまないでござる…。」




つい欲情してしまった。

抑えてた想いが溢れた。







「でも、嬉しかった。」


そう薫殿は照れたように笑う。




「剣心って、あんまりこうやって求めてこないから私魅力ないのかなって思ってたのよ。」

「薫殿は素敵でござるよ。」

「左之助と話してたくせに。」

「拙者は思ってないでござる。」

「本当かしら。」

「薫殿を見ていると、己の欲を我慢するのに必死だった。その身体に触りたくて、愛してると言いたい。」


そう言うと、薫殿はギュッと拙者を抱きしめる。





「ありがとう。我慢しないで。我慢して他の人とされたら嫌だもの。」

「拙者が他の人とするわけないでござろう。」

「私も剣心だけ。」

「約束でござるよ。」

「うん、約束。」



そう口づけをする。








「でも、本当に夜の剣心は怖かったわ。闘いの時みたいだった。」

「拙者も男でござるから、な。」

「すごいドキドキしちゃった。」

「もう難しいでござる。これからは我慢しないでいいでござるから。」

「じゃあたまには我慢してね。」

「おろっ。」



そう薫殿が笑う。

敵わないでござるなぁ。









 
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