密かな黒猫

□06
1ページ/3ページ



クロが居なくなってから…

あれから日にちがたつのは早いような遅いような、1週間が経過…すなわちテレビ収録日。


メシアはステージ横の控室にいた

「蒼ー!次メイク室入ってダッテサー!」

エドの声にハッとして立ち上がる

「…了解。行ってくる」

ここ最近気が抜けるとクロの事ばかり考えてボンヤリとしてしまう。

今まで何かを思って、思い詰めたりなんて無くて…どうしていいか分からなかった。
そして、そんな煮えきならない自分に嫌気がさしていた



「蒼…クロちゃん居なくなってから更にブラック入ったネ…」

「元々暗いやつだったけど、更に暗いなぁ」

「それほど、蒼にしたらクロは大切なモノになってたんだね〜…」








「はい、蒼さんメイク終了です。次は清彦さん呼んで下さいますか?」

メイクさんの声にまた現実に引き戻された。また悶々と考え混んでいたらしい…

顔をあげ鏡に映った自分を見る。
自分では出来る訳ない髪型、メイク。
こんな事今出来るのも俺をこの世界に引っ張ってくれた深時のおかげ。

「しっかりしろ、俺」


メイク室を閉め控室に戻ろうとした時、聞き慣れないがどこか覚えのある名前に足が止まった

「密さーん!次、流さん呼んできて下さーい」

そんな声が耳に飛び込んだ後、同じ廊下少し離れた場所に位置する扉が開いて人が出て来た


「はい、有難うございました」


丁寧に礼をして出て来た人物に見覚えはなかったが…出て来た場所はヒロイズムのメイク室


そうなると、あの対面式の時に欠席していた“密”とかゆうメンバーだとすぐに分かった

仕方ない、一応挨拶をしにいく


「ヒロイズムの密さん…ですよね?」


「あっ…はいっ?!」


声をかけられた本人は俺の存在に気がついてなかったのか慌てて振り向き、返事をしてくれた

「いきやり、すみません。俺、メシアのドラムやってる蒼って…いいます……?」


俺の自己紹介の途中
見る見る青ざめていく顔色。


「え、おい…大丈夫……?」

俯いていた顔を覗き込む様にしたら、バッと背けられた

「だだだだっ大丈夫です…!!きっっ気にしないで…!!」

今度は顔が真っ赤、しかも噛み噛みだし。…まぢで大丈夫かコイツ?

「おい、本当大丈夫かっ……」

密さんの様子を見るのに、肩に触れようと伸ばした俺の手が何かに弾かれた

「…迂闊に触られると困るな」

「流…さん…?」


そこに現れたのはヒロイズムの流だった






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ