Novel 1st

□Wonderful Sunday
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【鷹士 Side】


天気の良い日曜日。

ピンポ〜ン

チャイムが軽快に鳴りヒトミが玄関に走って行った。

インターホンで出れば良いのにヒトミは可愛いなぁ。

ん?なんか玄関が賑やかだぞ…嫌な予感がする。

「ヒトミ〜誰だ?」

玄関に近付くと嫌な予感が増々高まる。

「華原くんだよ」

予感的中!

「おはようございます鷹士さん」

相変わらず胡散臭い笑顔だ。

「おはよう、雅紀。朝っぱらからどうした?」

「やだなぁ鷹士さん、もうすぐお昼ですよ?若くないんじゃないですか、アハハ」

爽やかに言ったつもりだろうが毒が隠せてないぞ。

来るなら来いだ。

「あはは、若さってのは怖いもの知らずのことかな?ん?」

お互いに笑顔のまま睨み合う。

相変わらずヒトミを狙ってやって来たのか。

「でも本当にどうしたの?華原くん」

「桜川さ、今日空いてる?良かったら一緒にどっかいかない?」

俺の目の前でヒトミをデートに誘うとは良い度胸だ。

「残念だったなぁ雅紀、ちょうど俺たちも天気が良いから出掛けようって話してた所だったんだ、ごめんな」

小躍りしたい所だが口調だけでも申し訳なさそうに言ってやる。

「オレ桜川に聞いたんだけど…そうなの?」

おいコラ無視するな。

「えっと…うん」

「そっか、じゃぁ仕方ないよね」

わざとらしく溜め息をつくな。

白々しい。

「もう少し早くくれば良かったかな…邪魔してごめんな」

「あのっ…まだ何処に行くとか決めた訳じゃないんだけど良かったら華原くんも一緒にどう?」

ヒ…ヒトミ?ちょっと待て!

「え…いいの」

「構わないよね?お兄ちゃん」

なんかこのパターンは前にもあった気がするぞ。

負けるな俺!

「あぁ、でも雅紀無理することないぞ?ヒトミと二人が良かったんだろ?」

「あ…華原くん嫌だった?」

ヒトミそんな申し訳なさそうに言うな。

所詮邪魔者だ。

「ううん、鷹士さんさえ構わないならご一緒させて貰いたいな」

なんて厚かましい奴だ。

「お兄ちゃんは構わないよね?」

「そ、そうだな…」

ヒトミに言われたら…仕方ないじゃないか。

くそう、またやられた!

「ありがとうお兄ちゃん」

ヒトミが可愛いらしく言う。

それだけでちょっと癒されるよ。

なのに・・・

「ありがとう、“お兄ちゃん”」

雅紀が言うとせっかく癒された気分が台なしだ。

「アハハ〜雅紀にお兄ちゃんと呼ばれたくないなぁ」

ゴツン

「イテッ」

いかん、つい軽く小突いてしまった。

俺としたことが無意識に手が出てしまうなんて。
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