Novel 1st

□乙女ゴコロ
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マンションの玄関を出たところで雅紀くんが右手を差し出す。

「はい」

「?」

とっさに右手で握ってみた。

「うん、握手は大事だよね………って違うから!」

ビシッと雅紀くんにおでこを軽く叩かれた。

「い…痛い…何?」

初めて叩かれたかも。

「何って…も〜なんでヒトミはそんなに鈍いかなぁ」

…そんなに盛大に溜め息をつかなくても良いと思うんだけど。

「オレが用があるのはこっち」

そう言って私の左手をつかみ歩き出す。

「手をつなごうってこと。」

そ、そうだよね恋人同士なんだもん手をつないでもいいんだもんね。

うっ嬉しい…しかも雅紀くんちょっと照れてる?

もう私の心臓はドキドキだよ。

「そ、そっか・・・ヘヘ」

なんだかちょっとくすぐったい気持ちになる。

うわ〜顔が赤くなっってきちゃう。

「ヒトミらしいっちゃヒトミらしいけど……」

「わっ!」

前を歩く雅紀くん」、振り向いて私の手を引っ張ったと思ったら

チュッ

「これで許してあげるよ」

って…えぇ!!!!!

いきなりキスしましたよこの人!

しかも道端で!

「ま、雅紀くんはいつも突然過ぎだよ!」

「いいじゃん別に」

「いいじゃんって・・・も〜」

真っ赤になって文句言っても雅紀くんは全然へっちゃらな感じ。

なんかかなわないな。

「ヒトミ、そんな可愛い顔してるとまたキスするよ」

「なっ…」

もうきっと私の顔はゆでだこ状態。

「あはは…ヒトミって本当に可愛いよね」

からかってる、からかってるよこの人。

「もぅ!」

「ごめんごめん」

ごめんなんて言ってもめちゃくちゃ笑顔なんですけど…はぁ…この笑顔には弱いんだよね。

怒る気持ちも失せちゃうや。

「ヒトミさ、今日はお化粧してる?」

「あっ、うん薄くなんだけど…変かな?」

「ううん可愛い、キスしていい?」

「だっダメ!」

またまたこの人は何を言うかな。

絶対楽しんでるよ。

それとも本気?

「本気だよ?」

「えっ」

一瞬心の中を読まれたのかと思った。

「本気で今日のヒトミはいつもの三割増しくらい可愛い…いつも可愛いけどね」

困る・・・。

急に真顔でこんなこと言ったりするから本当嬉しくて困る。

「あ…ありがとう」

そう言って私はギュッと繋いだ手に力を込めた。
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