Bleach Novel
□風邪っぴきさんのその後
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「なんか…ごめんね?」
「何が?」
肩越しに振り向く一護に申し訳なさそうに呟く。
「熱…出しちゃって」
「別に気にすんなよ、こんなこと言うとあれだけどさ逆にちょっと嬉しかったりするし」
「え?」
「その…ずっと一緒にいられっからさ」
「でも…迷惑かけちゃったし」
「だぁーーーもう気にすんなって言ってんだろ?」
落ち込む織姫の頭をクシャクシャっと撫でて覗きこむ。
額がぶつかるかと思うくらい近い距離。
彼女の軽く驚いた顔が新鮮だった。
まだちょっと熱があるせいか瞳が少し潤んでいる。
「…お前はあんの?」
「へ?」
「行きたいとこ」
「うん、いっぱいあるよ。駅前に新しく出来た甘味屋さんでしょ?それにケーキ屋さんにハンバーガー屋さんに…」
「食い物屋ばっかじゃねーか」
クックッと笑う一護に織姫が恥ずかしそうにうつむく。
「あとね、黒崎くんと一緒にお出かけしたいなってずっと思ってた…動物園に遊園地に映画館」
「…じゃ早く治さねーとな?」
「うん?」
クシャクシャにした頭をもう一度撫でる。
今度は優しく愛しそうに見つめながら。
「行こうぜ?動物園と遊園地と映画館、元気になったらな」
「うんっ」
額に口付けは約束のしるし。
そっと手を合わせ指をからめれば
見つめ合い縮まる距離
同時にゆっくりと閉じていく瞳
二人の唇か触れるか触れないかという瞬間…
コンコンコンッ
「お兄ちゃーん入っていいかなぁ?」
遠慮がちなノックと控えめな遊子の声。
返事を待たずして扉が開く瞬間、
一護は立ち上がって伸びをして
織姫は布団を頭までかぶって潜っていた。