パラレル Bleach
□Dear my brother?
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『Dear my brother?』・・・ほんとうの気持ちは?
*・*・*・*・*
「お姉ちゃん?織姫お姉ちゃん!」
「はうあ!!な、何かな遊子ちゃん」
「…お粥さんにジャムはやめといた方がいいと思うよ」
言われて手元を見ればイチゴジャムの蓋を開けていた。
そして目の前にはグツグツ音を立てるお粥の鍋。
「あ、あれ?なんであたし…確か梅干しを入れようと思ってたはずなのになぁ」
「お姉ちゃん大丈夫?」
「えへへ、ごめんねー教えてくれてありがとう。いち…お兄ちゃんに怒られちゃうところだったよ」
「疲れてるの?」
心配そうにあたしを見上げてくるつぶらな瞳。
可愛いなぁ
「そんな事ないよ!ごめんね、心配かけちゃって。ちょっとボーっとしちゃっただけ」
「ならいいけど…」
「はいっ特製お粥出来た!遊子ちゃん、お兄ちゃんに持って行ってくれる?」
「はーい」
「ちゃんと全部食べるように言ってね?」
「了解です、織姫隊長」
「頼みましたぞ遊子隊員」
お互いに軽く敬礼して笑い合い、遊子ちゃんはお粥をトレーに載せて一護くんの部屋へと向かった。
それを見送った後、そっと溜息をつく。
他のみんなの夕飯を作りながら静かに辺りを見回した。
もう見慣れてしまった台所
みんなで食事をするテーブル
色違いで揃えた箸と茶碗…
もうすっかり自分はこの家族の一員として馴染んでしまっていた。
そこへ来てあの学校での出来事。
忘れていた何かを呼び覚まされたような気がして
胸の奥がツキンと痛む。
夢なら覚めないでと願うのに現実は残酷だ。
「ねぇ…あたしはどうしたらいいかな?」
誰に向けてでもなく問うた言葉は答えもなく消えていった。