パラレル Bleach

□Little honey
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『Little honey』・・・特別だから呼べない


*・*・*・*・*


ここは空座幼稚園。

元気なちびっこたちが日中を楽しく過ごす場所である。

中でも青組にはひときわ賑やかな声が響いていた。 


井上織姫は春からこの幼稚園にやってきた新米保育士だった。

青組の副担任を任され、空回りながらも一生懸命に取り組む毎日。

「う〜ん、こんなものかな」

保護者へのプリントを作成中、つんつんと織姫のエプロンの裾を引っ張る手があった。

「せんせー啓吾くんがまた泣いてるぅ」

「うわぁぁぁぁん」

ショートカットが良く似合う活発な女の子が指差す方を見れば

座り込んで大声で泣く男の子がいた。

「あ、本当だ!教えてくれてありがとうね、たつきちゃん」

「えへへっ」

よしよしと頭を撫でると満足そうに笑うたつき。

織姫は子供たちの笑顔が大好きだった。

泣いている啓吾の元へ行くとしゃがみこんでそっと涙を拭ってやった。

「どうしたの?啓吾くん。水色くん何か知ってる?」

織姫は泣きわめく啓吾の傍でおもちゃの携帯をいじくる水色に声をかけた。

水色は一瞬顔を上げたがまたすぐにおもちゃをいじり始める。

「さぁ、僕わかんないや」

「そっか…よしよし泣かないで啓吾くん」

織姫が膝に抱えあげると啓吾はその胸にしがみつく。

「ぐすぐす」

「よしよし…落ち着いてきたね、ほら笑おう?」

「…ひっく…」

「ね?啓吾くんほらニコって」

「にこっ?」

「おっナイススマイル!偉いね啓吾くん」

よくできましたと頭をなでると織姫は啓吾を膝から下ろした。

離れがたく織姫のシャツを掴む啓吾の手を横から出た手がビシッとはじく。

「イテッ…なにすんだよぉいちご」

「一護くん?」

「いのうえ、らんぎく先生が呼んでる」

「織姫〜ちょっといい?」

乱菊先生はこの青組の担任である。

いわゆる織姫の直属の上司であった。

「あ、はぁい!ごめんね、ちょっと行って来るから仲良くしててね」

泣きやんだ啓吾とおもちゃの携帯をいじる水色に声をかけ

二人が頷くのを確認すると織姫は立ち上がって乱菊のもとへと向かった。

「織姫〜」

「はぁい!今行きま…きゃぁ!」

ガシャーン!

大きな音を立てて織姫は積み木の箱に躓いた。

散らばった積み木の上にダイナミックに転び込む。
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