パラレル Bleach
□Secret love
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『Secret love』・・・距離が消える瞬間
*・*・*・*・*
扉を開ければ白を基調にした清潔感の溢れる部屋。
独特の消毒液の匂いが鼻をかすめる。
「失礼しまーす!」
溌剌とした声にひときわ目立つオレンジの頭が揺れ動いた。
寄りかかった椅子を軋ませてそのままくるりと入口を振り返る。
「おー、たつきか。どうした?」
「織姫ちょっと休ませてくれない?」
「た、たつきちゃん…」
たつきちゃんに引っ張られて仕方なしに保健室へと足を踏み入れる。
大丈夫って何度も言ったのにたつきちゃんに掴まれた腕は離れることなくここまで来てしまった。
「あ、あは…」
目の前の険しい顔に苦笑いしか出てこない。
うわぁ…いつもより三割増しくらい眉間に皺寄ってるよゼッタイ!
「まったくさぁ…あんた保健医でしょ?この子にビシっと言ってやってよ」
「何をだよ?」
立ち上がってあたしたちの方へ来る先生。
白衣がよく似合っていてその姿に思わず目を奪われてしまう。
黒崎先生は空座第一高等学校に新任で来た保健医だ。
でもってたつきちゃんの幼馴染だったりする。
「どうした?具合悪いのか井上」
「なんでも…ないです。本当たつきちゃん心配性で、全然なんともないのになぁなんて…っ」
元気よく笑ってなんでもないと伝えようとした時
なんの予告もなしに大きな掌が額に触れて息を飲む。
「…少し熱があるな?」
「でしょ?まったくこの子ってばすぐ無理するんだから」
「そっそんな事ないよ、ちょっと風邪気味なだけで全然元気だし!」
「風邪気味は元気って言わねーんだよ」
「じゃ、あとヨロシクね。授業の先生には言っておくから」
「待ってあたしも…」
保健室を出て行こうとするたつきちゃんについて行こうとすると肩をガシッと掴まれる。
チラリと見上げれば眉間の皺がまた深くなっていた…。
「せ…先生?」
「おー、井上の事は任せとけ」
「じゃーね、織姫ゆっくり休みなよ」
ニカッって笑って手を振るとたつきちゃんは部屋を出て行った。
残されたのはあたしと先生。