Bleach Novel

□風邪っぴきさんのその後
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『風邪っぴきさんのその後』・・・元気になって出かけよう


*・*・*・*・*


ピピッピピッ

軽い電子音が計測終了を告げて鳴り響いた。

「えっと…あっ」

取り出して見ようとした瞬間、体温計が横から奪い取られる。

まだ本人が数字を確認する前だったのというのに。

「37.8度…まだあるな」

眉間に皺を寄せたまま体温計を睨みつけるように見て読み上げる一護。

なんだか怒ってるみたいでちょっと怖い。

そう感じた織姫はなんとなく肩をすくめて半分起こしている体に布団を引っ張り上げた。

「でもずいぶん下がったよ?これも黒崎家のおかげだね」

「誰かさんが無茶しないでくれたらもっと早く治ったんだろーけどな?」

「うう…それは言わない約束ですぞ?」

織姫が無理して家に戻った日は夜中に熱が39度まで上がってしまった。

それからというもの一護は織姫の側を離れなくなった。

熱が下がってきた今もそれは変わらない。

そんなにも心配をかけてしまったのかと織姫は時々申し訳なく思う。

熱を測り終わった織姫をまた横にならせると一護はベッドの側に座り込んで寄りかかり何かの雑誌を読み始めた。

パラリとページを捲る音が小さく響く。

ぼんやりと空中を眺めていた織姫がポツリと口を開いた。

「黒崎くん良いの?」

「何が?」

「せっかくのテスト休みだよ?お出かけとかしてきて良いよ?天気だって良いし」

窓の外には雲ひとつない青空。

織姫の頭に仲の良いクラスメイトの顔がよぎった。

テスト休みは平日とあって友達がここぞとばかりに出かけると言っていたのを思い出す。

本当は自分たちもどこかへ遊びに行く予定をたててるはずだったのに。

「あー…別に特に行きたいとことかねぇし」

「勿体ないなぁ」

そう言いながらも彼らしいなと笑みがこぼれる。

予定を立てなくて良かったのかもしれない。

行き先が決まっていたらきっとすごく残念だったから…織姫はそう思った。

そのままモゾッっと寝がえりをうつと一護の背中を見つめる。
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