Bleach Novel
□パウダースノウ
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『パウダースノウ』・・・思い出をあなたと
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まっ白いふわふわの冷たい塊を手に取る。
あまりの冷たさに一瞬身震いしたけど慣れてくればなんてことはない。
形を整えると塊を置いて赤くなった手に息をかけた。
二枚の葉っぱをさしてナンテンの実を目にしたら出来上がり。
織姫雪うさぎの完成だ。
かじかんだ指先をグーパーを繰り返して動かして間隔を取り戻す。
そしてまた新しく雪のかたまりを手に取る私。
一匹じゃ寂しいからもう一つその隣に。
前はお兄ちゃんうさぎだったけれど今日は…
「井上?」
声のした方を振り返れば私の雪うさぎ…じゃなかった雪うさぎ的存在の人?
うーん上手く言えないや。
「おおっ黒崎くん!ちょうど良いところに」
「ちょうど良くねーよ!濡れてんじゃねぇか」
黒崎くんはアパートの階段下に蹲る私のそばへ小走りで来てくれる。
なんだかそれがすごく嬉しい。
黒崎くんは持っていた傘を私の上にもさしてくれた。
その姿がいつかのお兄ちゃんと重なってなんだかちょっと切なくなった。
「今ね、ちょうど完成したところなのです」
「雪うさぎ?」
「これはね、織姫うさぎと黒崎くんうさぎです」
そう言って並んだ雪うさぎを紹介すれば黒崎くんは照れたように笑う。
私はこの顔がすごく好きだ。
なんだかホッとして胸が暖かくなって安心する。
「雪遊びもほどほどにしとけよ?」
「うん…昔ね、こうしてお兄ちゃんと雪うさぎを作った事があったの」
「そっか」
「懐かしいな…」
「まだ、作るのか?」
「ううん、これで完成!部屋に戻ろう?」
立ち上がっってくるりと振り向いた瞬間
肩をギュッと掴まれたと思ったら抱きしめられていた。