Bleach Novel
□閃く風に想いを乗せて
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『閃く風に想いを乗せて』・・・告白は青い空の下で
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午前授業だったせいかほとんどの生徒が下校した人気のない廊下を静かに歩いていく。
誰に会う事もなく屋上へと階段を上り外への扉に手をかけた。
少し重い扉を開けるとギィと鈍い音がして強い風が全身を襲った。
舞い上がるスカートを押さえて一歩を踏み出す。
見上げれば晴れ渡る空、白い雲が美味しそうな綿菓子みたいにふわふわと浮かんでいる。
そして視線を落とせば誰もいないと思っていたそこに青い空に映えるオレンジの髪をした人が佇んでいた。
こちらに気づいて肩越しに振り替える。
「よぅ井上」
「黒崎くん」
「どうした?」
「え…ううん、気分転換でもしよっかな〜って!黒崎くんは?」
「俺もそんなトコ」
「そっか」
黒崎くんの側までいって同じ様に景色を眺める。
校庭で部活動をする生徒の声がかすかに聞こえてきていた。
湿度がないせいかカラッとした暑さが心地よくて過ごしやすい。
「良い天気…夏休み中もずっとこうだといいね。」
「あんま暑いのはカンベンたけどな」
「そうだね。でも暑い中で食べるアイスは格別だよ!特にね抹茶アイスにハチミツと粉チーズとチョコスプレーをかけて食べるのがこれまた最高なんですな」
「そ、そうか…よかったな」
あれ?美味しそうに聞こえなかったかな?
確かにイメージしづらいかも・・・よし!今度特製の作ってお届けしよう。
遊子ちゃんや夏梨ちゃんにも持って行ったら喜んでくれるかなぁ。
「そうそう、またみんなで花火大会も行こうね」
「ああ…でも良いのか?」
「へ?なんで?」
「彼氏と…出かけたりするんじゃねぇの?」
「えっ!か、彼氏なんていなし」
な、ななんで黒崎くんの口から彼氏?
私の答えに黒崎くんが険しい顔をした。
「そうなのか?井上モテんだろ?」
「え〜?そんなことないよ、あたし全然モテないからなぁ」
「とか言って、さっき校庭の隅で告白されてたのは誰だよ?」
「え?なっなんで知ってるの?」
「わりぃ…ここから見えた」
そっか見られてたのか、先ほど自分がいた場所に視線を走らせる。
確かに屋上からだと丸見えかもしれない。