Bleach Novel
□風邪っぴきさんが一人
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『風邪っぴきさんが一人』・・・ゆっくり休んで元気になって
*・*・*・*・*
「織姫ちゃんは女の子なんだから私たちの部屋が良いよ!」
珍しく遊子が一護に強気でくってかかった。
負けずと一護も言い返す。
「井上は俺の…かっかかか彼女なんだから俺の部屋に決まってんだろ」
「一兄どもってるよ」
「う、うるせぇ」
言いながら真っ赤になった一護に冷静に突っ込む夏梨。
その隙をみて一心が話に入り込む。
「だったらお父さんはお医者さんだから織姫ちゃんはお父さんの部屋で…」
「「「却下!」」」
子供三人に声をそろえて反対されて一心は隅っこで膝を抱えて今は亡き妻に愚痴り始めた。
それを横目に一護はため息をつく。
事の起こりは数時間前のこと…
期末試験最終日、一護と織姫は一緒に下校しながらテスト休みはどうしようか思いを巡らせていた。
「クシュン!」
突然、織姫が小さくくしゃみをして肩を震わせた。
「風邪か?さっきもくしゃみしてたろ?」
「うーん…そうかなぁ…わっ」
不意に一護の手が織姫の額に触れる。
ドキドキと胸が高鳴る織姫と反対に一護の眉間のシワが深くなった。
訝しげに目を細める。
「お前…」
「くっ黒崎くん?」
「熱あんじゃねぇか!」
「え?えぇ?」
「家行くぞ。オヤジに診て貰え」
「だ、大丈夫だよ?」
「いーから来い」
織姫の手をギュッと握って歩き出す。
その手がいつもより熱くて、もっと早く握っていれば気づいてあげられたのにと一護は思わずにいられなかった。
そんなこんなで黒崎家にやってきた織姫。
一護の父、一心の診察を終えたところに夏梨と遊子が一人暮らしの織姫を心配し家に泊っていけという話になったのだった。