Novel 1st

□怪しい笑顔にご用心
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怪しい笑顔にご用心・・・ヤキモチ妬けた。


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「おい、大丈夫か?」

目を開けると先生が心配そうに見下ろしていた。

「…あれ?ここは?」

なんだか頭がぼんやりする。

「保健室。お前倒れて運び込まれたんだぞ。覚えてないのか?」

全然覚えてない…。

「っとに、心配させやがって」

先生の手がおでこに触れる。

大きくて優しい手。

「先生、手、冷たい」

「手が冷たい奴は心があったけぇんだよ」

先生が淡く笑う。

相変わらず意地悪そうな笑みだ。

心が暖かいの本当だねって思うのになんだか素直に言いたくない気分にさせる笑みだ。

我ながらひねくれてるとは思うけど笑ってごまかした。

「あはは…冷たくて気持ち良いですよ」

そのまま目を閉じるとなんか安心する。

「貧血だな。お前昨日の夕飯何食った?」

「………」

「言わないと襲うぞ?」

先生の声が少し低くなって思わずビクッとした。

なんて脅しをするんですかこの人は!

「言いますっ言います!…えっと…昨日は…お豆腐のサラダ」

「サラダと?」

「…終わり」

「朝飯は?」

「ヨーグルト」

「ヨーグルトと?」

「………終わり」

先生がチッと舌打ちした。

「このバカ!きちんと食わなきゃダメだって言ったろ!」

そんなに怒鳴らなくてもいいと思うんですけど…。

「だって、最近また体重が増えてきたんですもん」

せっかく一年間頑張ってダイエットに成功したのにまた元に戻るなんて嫌だし。

体重増加、これは乙女の一大事ですから!

「ったく…鷹士は何してんだ」

「…出張」

運動量は増やせても食事量はお兄ちゃんがいない時しか減らせない。

「あ?」

「だから、お兄ちゃんは出張中だもん」

先生はそれはもうわざとらしい溜め息を着いた。

「そういう時はなんでオレ様の家に来ないかなぁヒトミちゃんは!」

「いたひ!ひぇんひぇいイタヒ!」

ほっぺを思いきりつねられて涙が出てきた…先生ひどい。

「飯くらい食わしてやるっての」

「…だって先生いっぱい食べさせるんだもん」

先生は料理が得意でいつも沢山作る上にとっても美味しかったりするから、ついいっぱい食べちゃってさっぱりダイエットにならない。

「お前だって食べるの好きだろ?それに食べてる時のお前は…」

ピタッと先生が途中で言いよどむ。

「お前は?」

「な、なんでもねぇよ!とにかく今日はオレ様ん家に来い!いいな」

「…はぁい」

倒れた手前文句も言えない。
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