半妖姫〜第一部〜

□十九章
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「どうやら新選組は隊を二つに分けて、別方向から町中を探索するらしいねぇ。」


自室で静かにおにぎりを食する私に、先程市中から戻って来たばかりのミケがそう教えてくれました。
夕暮れも過ぎ、外はすっかり闇に包まれています。そんな中、ミケと入れ違うようにして新選組の隊士達が市中へ出動して行ったのもつい先刻のことです。


「池田屋に向かうのは近藤勇ら、十人。四国屋に向かうのは土方歳三ら、二十四人。当たりは土方達の行く四国屋っぽいよ。」


ミケの話によると、土方さん達の向かう方向に本命があるそうで。それ故に、そちらの班の人員を多くしたとのことでした。……それにしても…。


「しかし、動ける隊士が三十人ちょっととはねえ。」


私と同じことをミケも考えていたようで、呆れたように彼女は瞳を細めます。


「アタシが帰り着く頃には会津藩や所司代にも連絡入れていたようだが、果たして動いてくれるのか疑問だよ。ああいうお役人ってのは、弱腰でどうしようもない奴ばっかだしね。」


そんな風にしてミケの話を聞いていると、程なくして夕飯のおにぎりを食べ終えました。空になったお皿を両手に持ち、私が立ち上がると。畳の上に座っていたミケも立ち上がります。


「もしかすると、今夜は大変な夜になるかもしれないよ。」
「……?」


少し意味深い言葉を呟いたミケに首を傾げつつも。私は部屋の襖を開いたのでした。


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