僕の記憶の扉

□第五章
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 一、序章という名の始まり
 この道の先には何があるのだろうか。暗くて、自分の手も見えない。でも、もう戻ることはできないんだ。ここへ来てしまったからには。
 前へ前へと進む。いつから歩き続けているのだろう。もう時間の感覚がない。疲れてきた。目の前には一筋の光も見えてこない。方向の感覚もなくなった。俺は今、どの方向へ向かっているのだろう。北・南・東・西。ここには方角がないのだろうか。絶望が頭をもたげる。俺は一生ここから出られないのか。・・・・・・そんなことはない。そう思っても、心の底では一生出られないとわかっているから、慰めにもならない。

   ◇   ◇   ◇

何をやっても楽しくない。やりたいこともない。親も友達も自分も嫌い。生きていることに疲れた。俺の生きがいは何だ?
 二月の初め。俺は六年生だった。毎日が飛ぶように過ぎていく。気づけば、九日になっていた。そして、その日。あの言葉を口にした。
 きっかけは友達との喧嘩。掃除が終わって外へ遊びに行った、昼休み。小さなことで喧嘩になった。今更ながら思う。なぜ、そんなことで喧嘩になったのかと。なぜ、あの言葉を言ってしまったのかと。
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