僕の記憶の扉
□第四章
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一、青色
あなた→
――私の手の中に切符がある。どこへ行くのかわからない、茶色の切符。――
これを手にしたのは一週間前―――。
◇ ◇ ◇
「ん・・・?・・・・・・あーーーっ!」
どうしよう。寝過ごした。今日は就職二日目なのに・・・。急いで用意をして家を飛び出す。
私の名前は洸月木香。二十二歳で、今日が就職二日目。・・・なのに!二日目から遅刻なんて、ありえない!どうして目覚まし時計のアラームを止めちゃったんだろう。あ゛ーーー、遅刻するーーー。
踏切が閉まっている。走っていた足を止め、一息つく。ふと、見上げた空が青い。
「きれい・・・。」
思わず呟いた一言は、電車の音にかき消されて、自分でも聞こえなかった。
電車が通り過ぎ、私はまた走り始める。会社はもうすぐそこ。目の前だ。
仕事の始まる時刻ぎりぎりに部屋へ飛び込んだ私は、遅刻はしないですんだ。
「はぁ・・・。まにあったぁ・・・。」
一息つく間も無く、仕事をする。走ってきたせいで、まだ息が切れている。学校へ行っていたころ、走るのが得意だったことが幸いだ。