僕の記憶の扉

□第三章
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 一、夏の日
 暑い。
 ミーンミンミンミンミーーーン
 セミが鳴いている。・・・・・・。
 ミーーン   ミーンミーンミーーーーーーン
 ・・・・・・。
「あぁ、もう、うるさいっ!」
 ただでさえ暑いのに、セミの声を聞くだけで気温が五度ぐらいあがる(気がする。)!
 今日から八月。夏本番。・・・扇風機とクーラーが恋しくなる季節だ。俺の部屋にはない・・・。
 俺の名前は風唯。この暑い夏を乗り越えようとしている中学二年生。
 ミーンミンミンミンミーーーン
 またセミが鳴いている。今度は十度ぐらい上がりそうだ。
「うるさい、うるさいうるさーーーい!」
 ミンミンミンミンミンミンミンミーーーーーーーーーンッ!
「うるさーーーーーーーーーいっ!」
 はぁはぁはぁ・・・。疲れる。そのまま布団の上に倒れこむ。


 このときにはもう気づいていた。セミの声に混じってほかの音が聞こえていることを。

   ◇   ◇   ◇

 あの音はあれからずっと聞こえている。しかも、どんどん大きくなっていっているような気がする。
 それにしても、不思議だ。この音を聞くと懐かしさがこみ上げてくる。なぜだろう。何の音か聞こうとしても、まだ小さすぎてわからない。それにこの音は、俺にしか聞こえていない。母さんや父さんに聞いても何も聞こえないと言われる。
 なぜ俺にしか聞こえないのか。もしかしたら、これは誰かからの‘メッセージ‘かもしれない。

 八月も一週間が過ぎたある日―――。
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