僕の記憶の扉
□第四章
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三、茶色
――数日後――。
私はまたあのベンチにいた。この切符を拾った、このベンチに。この切符は誰かの落し物だろうか。
公園で走り回る子どもたちを見て思う。子ども、か。まだ、二十二歳だけど、子どもの頃、学校へ行っていたころはよかった。毎日笑い、泣き、怒り、楽しんでいた。
家に帰って布団に入る。なぜか、早く寝なくちゃいけない気がした。この切符を持って。
心地よい眠りが私を誘う。夢の中へと。私は逆らわず、その後をついていった。ただひたすらに、真っ直ぐに、奥へ奥へと。
私は夢の世界へと旅立つ。
夢の中で私はある家の前にいた。懐かしい、幼い頃に暮らしていた家の前に。