僕の記憶の扉

□第四章
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 二、赤色
 仕事が終わった。朝とは違い、ゆっくりと歩く道。皆、家路につく時間。辺りを見回す。ここへこしてきたのは一ヶ月前。まだあまりこここのことを知らない。でも、私は自分で知るほうがいいので、誰にも聞いたことがない。今日も、散歩がてら少し散策をするつもりだ。
 それにしても、と思う。この町には子どもが多い。住んでいるマンションも、自分でこそ一人暮らしだが、ほとんどが家族で暮らしている。

   ◇   ◇   ◇

 家の近くにある公園は私のお気に入りの場所だ。いつものベンチに座る。そして、上を向くと、空が見えた。今日の空も、赤い。思い返せば、一ヶ月前もここで空を見上げていたっけ。どこまでも赤い。その赤が、夕焼けの赤が、目にしみる。今、この瞬間に何人の人が私と同じ空を、赤を見ているのだろうと思った。そのときだった。私は下に落ちていた小さな茶色い紙を拾った。
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