銀魂の開幕

□第一話
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おぎゃぁあ おぎゃぁぁああ

「一人め産まれましたよ!元気な男の子です」


「本当か!?あと一人か・・・、頑張れ愛美!!」


今日この日たった今、双子の父親になろうとしている嶐翠言我(ゲンガ)は、落ち着かない様子で分娩室の前をウロウロしていた。


「社長。社長がウロウロしても早くは産まれませんよ(苦笑)」

「相澤。そんなことはわかっ「「「ぃ、いやああああああああ」」」?!」


突然響いた妻の叫び声に言我は反射的に分娩室の中へと飛び込んだ。


「愛美!!?」

「いやぁあああ!! こんな子しらない!! 私の子はこの子だけよ!!!! そんなの知らない!!!!!」


言我が中でみた光景は、先程産まれたばかりの我が子を抱き締め、恐怖に歪んだ顔を涙でぐしゃぐしゃにしながら叫ぶ愛美(妻)の姿だった。


「落ち着いてください嶐翠さん!! お体に障ります!! それに、天使みたいに綺麗な赤ちゃんじゃないですか」


助産師は赤ん坊を抱いて、言我のもとへ近付いた。


「あたし、こんな綺麗な赤ちゃん初めて見ました。産声はあげなかったですけど、元気ですよ」


産まれたばかりの筈の赤ん坊は既に整った顔をしていて、泣くこともなく助産師の腕に収まっていた。


「・・・・・一卵性じゃないんですか」

「いえ、一卵性ですよ。不思議ですね、同じDNAで見た目が全く違うなんて」

「そんなこと有り得るのか?」

「・・・・・・・・」


助産師に向けていた視線をゆっくりと抱かれている赤ん坊に移す。

赤ん坊は言我と視線があうと、何故かもう座っている首を傾げて『オトウサン?』と声を発した。


「「ッ!?」」


自分がさっきとりあげたばかりの赤ん坊が言葉を話したことに驚いた助産師は、咄嗟に赤ん坊を放り投げ、誰もその場を動かず、赤ん坊が床にぶつかるのをジッと見ていたが、そうなることはなかった。


『アブナイヨ。オネエサン』

ぶつかるとおもわれた赤ん坊は、床の10cm上空中で物理的法則を無視して浮いていたのだ。


「いやよ!!! そんなのしらない!!!! この子だけが私のこどもなの!!」

『オカアサン、オレイヤ?キライ?』

「そんなふうに呼ばないで!! 私はあんたのお母さんじゃない!!!!! 言我そうよね?」

『オトウサ「相澤。今日中に金で話の付くベビーシッターを探させろ。それと、家から50km以上離れた地に家を買え。明日からコレはそこで暮らさせる」

「・・・・・はい。しかし社長、戸籍をつくるのに名前は不可欠です。この子の名前はなにになさいますか?」


相澤にはそこまで嫌う理由がわからなかった。

確かに自分にない力をもっていて少し恐くも感じるが、普通なら自分の子が特別だったら自慢なんじゃないのか・・・。

それとも4代続く嶐翠家には嬉しくないコトなのか・・・・・・。


「名前か・・・・、コレは忌まわしい流れを呼ぶ。・・・忌流。忌流(キリュウ)でいい」

「忌流様ですね」

「様などつける必要はない!! 戸籍は嶐翠の子供だが、一切かかわる気はない!!」

「・・・・・はい」

「わかったらコレをつれていけ!!!! 今夜一晩お前が面倒をみるんだ」

「私がですか!?・・・・では、連れていかしてもらいます」


相澤はいまだ空中に浮いている赤ん坊・・・・・、忌流を抱き上げ分娩室を後にした。


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